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そこらへんの土で土器は作れる?千葉大学の敷地で土器を焼いてみた!

公開日 : 2026.01.28

先月まで開催されていた「千葉国際芸術祭2025」。

「ちから、ひらく。」をテーマに千葉市内のいたるところにアート作品が展示され、アーティスト・生活者・来訪者が対話しながら「ものづくり」にチャレンジするという、参加型のアートプロジェクトとして大盛況を収めました。

今回、その千葉国際芸術祭のプログラムとして開催されたワークショップ「身近な土でうつわを作ろう」に参加してきたので、体験レポートをお伝えします!

西千葉の土から土器をつくる一大プロジェクト!

今回のワークショップは土器をつくるための「粘土採取」「粘土造形」「野焼き」の工程を全3回のプログラムで実施されました。

DAY1:粘土採取

千葉市動物公園で土を採取するワークショップ参加者

まず初めに行われたワークショップは土器の素材となる粘土採取。
千葉市動物公園の敷地内で土を採取したんです。なんでも千葉市動物公園が建つ台地は、それ全体が「餅ヶ崎遺跡」としても知られており、縄文時代中期~後期の住居跡などが発掘された場所でもあります。

千葉市動物公園に行った際は、ぜひ地面を踏みしめながら「足元に遺跡がある」ことを感じていただけたらと思います。ロマンがありますよね。

また、この西千葉エリア自体も、「土器と遺跡(貝塚)の街」です。西千葉駅から直線距離で約5.5キロの距離には、国内最大級の縄文貝塚「加曽利貝塚」があり、多くの土器が出土しています。

加曽利貝塚縄文遺跡公園
住居跡に復元された竪穴式住居

西千葉というエリアは、縄文時代のはるか昔から、人々の営みが行われてきた豊かで安定した土地なのです。

掘り当てた粘土を手に取る参加者

参加者からは「粘土層の土はちょっと周りの土と色が違って、触るとひんやりして気持ちが良くて、掘っていくと、だんだんこれが粘土になる土だと見分けがつくようになって面白かった」という声が。

粘土層の土は粒子が細かく、水分を含むことで粘りを持ち、成形しやすい性質があるため、土器をつくるのに適しているんです。

DAY2:粘土造形

採取した粘土で土器を作る参加者

粘土採取から約3週間後、今度は粘土を成形していきます。

縄文時代の人々は、日常で使用するお皿や茶碗を手作りしていました。また、土器は日用品としてだけではなく、宗教的な装飾品としても使用され、信仰と深く結びつき人々の精神的な支えにもなっていたと考えられています。

「手の中でこねるとだんだん柔らかくなっていって、匂いも普通の土とは違う匂いがした」と語るワークショップ参加者。

こうして自分が掘った土で土器をつくると、なんだか5000年前の人と繋がっているような気持ちになりますね。

DAY3:野焼き

そして最終日、いよいよ手作りの土器を焼いていきます!

現代のように「窯焼き」はせず、昔ながらの「野焼き」という方法で時間をかけて土器を焼き上げます。千葉大学内の空き地に多くの参加者が集まり、みんなで焚き火を囲みました。

皆が思い思いにつくり、模様を施した土器を火で囲み、ゆっくりと熱を入れていきます。
いきなり高温で焼いてしまうと割れやすいため、一日がかりで時間をかけながら土器の水分を抜きつつ焼成する昔ながらの手法です。

温度が高くなるにつれて土器は黒っぽく変色しますが、さらに続けて焼くことで明るく茶色い色になっていくようです。土に含まれる成分によっても出来上がりの色は変わるのだとか。

ちょっとした遊び心で焼き芋も焼いていたり。もしかしたら縄文人も野焼きをしながら肉や魚、野菜などを調理していたのかも?

皆で炎を見つめながら太古の人々の暮らしを想う時間。
5000年前の土器が発掘されているのだから、私たちが手作りした土器も後世に残るかもしれない。そんなロマンを胸に抱きつつ。

なかなか都会で焚き火をする機会がないせいか、無言で炎を見続ける方が多かったです。


焚き火内はおよそ500度〜800度ほどの熱を帯びていると言われています。場所によっては1000度近くまで上昇することもあるのだとか。

高温で焼くことによって、土器が割れにくくなるそうです。

いよいよクライマックス!薪をどんどんくべていき、大きな火柱が上がります。
この後、少しづつ火は小さくなっていきますが、土器が急激に冷えないよう、ゆっくりと火が消えていくのを待ちます。

まだ火が燃えている内にワークショップは終了となり、土器と対面できるのは後日となりました。

主催者・参加者インタビュー

それでは最後に、主催者と参加者の方々に今回のワークショップを通じて感じたことをお聞きしたいと思います。

ワークショップ主催者:陶芸家・アーティスト 外山 慧氏(手と具)

「現代の暮らしと風景を繋ぐきっかけになればいいな」と思い、今回のワークショップを実施しました。

一昔前、人々の暮らしは風景の中に溶け込み、生活は自然環境とともに変化するものでした。現代はまちづくりが均質化され、生活品や道具は流通に依存、私たちが暮らしている土地の「本当の風景」が見えづらくなっているように感じています。

このたびのプロジェクトは千葉の土器文化をもとに、古くから暮らしに密接に関わる素材である「土」に触れ、さらには自分たちがつくった未来につながることを想定したインスタレーション(空間全体を一つの作品として構成する現代美術の表現手法)です。

参加者の皆様には今回の体験を通じ、千葉の過去と未来を想像しながら、自分の関わりが未来の景色を形づくることを実感していただけたならば幸いです。

参加者の皆さん

今回のワークショップには3日間、すべての工程に参加することができました。

以前、陶芸体験をしたことがあり、とても楽しかった思い出があったので、参加することにしました。初日の粘土採取は、急な斜面を奥まで掘るのがなかなか大変で。砂と混ざったような土の中から、土器に適した土を探し当てるのも難しかったです。

今回は「鉛筆立て」と「ご飯茶碗」をつくりましたが、ちゃんと使えるものになっているかな?(笑)出来上がりが楽しみです!

芸術祭をずっと見て回っていて、ほとんどの展示を見ることができたと思います。

特に印象に残っているのは、薄暗いビルの一室で、電化製品などが再利用され、近づいたり音を立てるとプリンターやレコーダー、扇風機などが一斉に稼働するという展示が面白かったです。子どもは「お化け屋敷みたい」と喜んでいました。

今回のワークショップについてはDAY1・DAY2には参加できなかったのですが、このDAY3の「野焼き」だけはタイミングが合ったので、参加してみました。

私たち家族は芸術にとても明るいというわけではありませんが、子どもが絵を描いたりするのが好きで、ものづくりに興味がありそうだったので、こういった気軽に参加できるイベントにはたびたび参加しています。

※後日提供いただいた画像(粘土造形ワークショップ時のお写真)

土を掘るのも、器もつくるのも、野焼きも全部楽しかった!もしかしたら遺跡が出るかもとワクワクしながら土を掘った。でっかい粘土の塊が取れた時は、なんかお宝を見つけたみたいな気持ちで嬉しくて、その粘土で器を作れるんだと思うともっと嬉しくなった!

みんなでおしゃべりをしながら土を掘ったり器をつくったり、すごく楽しい時間だった。もっとずっとやりたいと思った!

僕は粘土でゴリラを作りました。千葉に引っ越してきた記念の作品になりました!ずっと大切にしていきたいです!

今年の3月に千葉に転勤が決まり、住む場所を調べる中で、「西千葉工作室」を見つけ、工作好きな息子にぴったりな場所だなとHPを見ていたところ、千葉国際芸術祭のプレ企画「まちばのまちばり」の活動などを見て、「なんだかおもしろそうな芸術祭が千葉でやっている!」と千葉国際芸術祭の開催を知りました。

芸術祭のコンセプトである千葉の「ひと、こと、もの」に出会える市民参加型のアートプロジェクトというのが、引っ越してきたばかりで新参者の私たちにとって非常に魅力的で。

ワークショップの参加や作品の鑑賞を通じ、千葉のあちこちに出かけて、知らない場所で、初めましての方々と交流しながらアートを楽しみ、気がついたらすっかり千葉のことが大好きになっていました。

縄文時代から人が暮らす西千葉。そして未来へ繋ぐ

自分たちが生活している場所の土を掘って粘土を手に入れ、器をかたちづくり、野原で焼く。
昔はごく普通だったことが、現代では貴重な体験です。

「この土地はどんな土地だった?」「土ってそもそもなんだっけ?」

主催者である外山さんが言葉にしていた「私たちが暮らしている土地の本当の風景」というものを、改めて考えてみたいと感じました。

5000年前につくられた土器からインスパイアされた作品が未来つながる。なんだか素敵ですよね。

皆でつくった土器が、未来に残るかもしれない。ロマン溢れる取り組みをご紹介しました。

 

千葉国際芸術祭2025
・公式サイト:https://artstriennale.city.chiba.jp/