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こういうお店の常連になりたい。珈琲と古書が織りなす不思議空間。西千葉の古書店『ムーンライト・ブックストア』

公開日 : 2026.10.30

JR西千葉駅の北口を出て、『ゆりの木通り』をまっすぐ5分ほど歩くと『松波さくら通り』との交差点に差しかかります。

交差点の信号を右に渡ってすぐのところに、行列が絶えない人気のチャーハン専門店『幸せのれんげ』があり……

そのすぐ隣に店舗を構えるのが、西千葉の古書店『ムーンライト・ブックストア』です。今回の取材に協力してくださった店長の長嶋健太郎さんが笑顔で出迎えてくれました。

ちなみに、こちらの古書店は千葉大学のすぐ近くにあり、長嶋さんもかつて千葉大学で哲学を学んだ元・千葉大生です。昔からこの西千葉の地をよく知る人物でもありますので、本日は長嶋さんに様々な話を聞かせていただきたいと思います!

2007年開業。西千葉の変化を見守り続けた『ムーンライト・ブックストア』

2007年に開業し、約20年。『ムーンライト・ブックストア』は、地元の人々と交流を続けてきました。

実は長嶋さんは2代目の店長で、元々はお店の常連客だったそうです。長嶋さんは2015年に店長になってから、10年以上もこの西千葉の地で古書店の経営を続けてきました。

お店の中には古今東西の本がギッシリ。文庫本、歴史書、美術書、マンガ、絵本、写真集やレシピ本、週刊誌や月刊誌のバックナンバーまで、様々な本が並びます。

長嶋さんの得意ジャンルでもある哲学書もたくさん置いてあり、哲学が好きな人にはたまりません。

さらに、知る人ぞ知るレア本もずらり。こちらの「木村伊兵衛写真集 パリ」などは絶版になっており、入手難易度が高い本です。

日本のニューカラーの先駆といえる写真集として高い評価を受けており、大変な人気があります。現在の相場は数万円とのこと!

ほかにも「POPEYEの創刊号」や有名な哲学書である「機械の中の幽霊」など、プレミア価格がついている本が多数、並べてありました。

また、本だけではなくレコードや食器、さらにはオシャレなアンティークなども置いてあり、これらもれっきとした売り物だそうです。値段がわからないものは、長嶋さんに聞けば教えてくれます。

数々の本に加え、こうしたアンティーク品があることで店内がオシャレで独特な雰囲気に包まれています。よくある古書店特有の堅い感じがなくて、気軽に入りやすいですね!

さらには、お店の大きな特徴として「本格的なドリップコーヒーの提供」があります。ホットコーヒーは一杯500円(税込)。

ハンドドリップのコーヒーを淹れてくれるスタッフの渡邉さんは、かつてカフェを経営していたこともある人材。バリスタがいる本屋さんなんて、素敵ですね。

渡邉さんがコーヒーを淹れ始めると、店内には深煎りの甘くて香ばしい匂いが広がり、本の匂いと合わさってリラックス効果の高い空間が完成します。

500円で買える最高の贅沢。渡邉さんは前の店長の知り合いということで、縁あってこちらのお店で働いているそうです。

ちなみに渡邉さんは無類のお酒好き。コーヒー以外にお酒のメニューもありました。70歳を過ぎてDJを始めたそうで、その高いバイタリティを見習いたいですね。

店長・長嶋さんにインタビュー。どうしてムーンライト・ブックストアの店長に?

こんな不思議で魅力的なお店、どうやって出来上がったのでしょうか?長嶋さんにお店の経営や西千葉のことを色々と聞いてみましょう!

ムーンライト・ブックストアが今の形になるまで

どういった経緯で、ここで店長をやっているんですか?

そもそもの始まりは、哲学を学ぶために三重県の高校から千葉大学に進学し、千葉で新たな生活を始めたことです。

大学卒業後は大学院に進み、そのときに知り合った人から「今度、ムーンライト・ブックストアと一緒にイベントをするから、宣伝文を考えて欲しい」とコピーライティングの仕事を頼まれたんです。その仕事をきっかけに、店のオーナーでもある初代の店長と知り合いました。

なるほど。初代店長はどんな方だったのでしょうか?

サブカルチャーが好きで、人当たりが良くて。そのときからコーヒーの提供があったんですけど、コーヒーを飲みながら店長と話すのが楽しみで、頻繁にムーンライト・ブックストアに通うようになりました。

元々、本が好きで色々な古書店には行っていましたが、ムーンライト・ブックストアには本を買う用事がなくても通っていたぐらいです。

店長とは素敵な関係だったんですね!店を継ぐことになったきっかけは?

大学院の修士課程を修了した後は、現実的なことを考え、神奈川県のWeb制作会社に就職しました。数年ほど働きましたが、どうしても大好きな本に関わる仕事がしたくて、サラリーマンを辞めて東京の代官山の蔦屋書店でアルバイトを始めたんです。

その間にもムーンライト・ブックストアには通い続けていたのですが、ある日、店長から「店をたたもうと考えている」という話を聞かされたんです。

大好きだった店がなくなるのは、悲しいですね。

自分でも「いつか古本屋をやってみたい」という漠然とした夢はありました。でも、それはしっかり働いてから、定年後の話だろうと考えていたんです。

とはいえ、ムーンライト・ブックストアがなくなるぐらいなら、と思い「僕にやらせてくれませんか」と店長にお願いしました。無事、承諾を得て2015年に2代目の店長になったのですが、いきなりの人生の転機に少し戸惑うこともありましたね。

すごい。実際に店長になって、いかがでしたか?

これまでの人生、色々なことに興味を持って生きてきましたが、店長になってからはとにかく「お金」についてたくさんの時間を使って考えるようになりました。

本を仕入れるお金、スタッフに給料として支払うお金。お金の工面も支出も自分で決めて、自分で責任を持たないといけない。

自分は何に対してお金を払っているのか?お金はどうしたら増えるのか?哲学的にも「お金とはなんだろう?」と考える良いきっかけになりました。

いきなり経営者になったわけですもんね。本を読む時間は増えましたか?

いえ。大好きだった本ですが、時間に追われてほとんど読むことがなくなりました。

ただ、これは自分の中ではポジティブな変化だと捉えています。ちなみに、本はなかなか読めていませんが、ムーンライト・ブックストアには私の趣味のせいか哲学書がたくさん集まっていますので、哲学が好きな人は特に楽しめる古書店になっていると思いますよ!

今は「センスの哲学」という本が気になっています。「センスってなんだろう?」って、ずっと気になっているんです。センスが良いとか悪いとか、本質的に何が違うのかなって。

ずっと学んできた哲学が、古書店の経営に活かされているんですね!

……どうなんでしょうね?

基本的に哲学って何かの役に立つとかは考えていなくって。「そもそも、どうして役に立たないといけないんだっけ?」と考え始めるのが哲学なので。

ただ、哲学を学ぶことで物事を多角的に見られるようにはなりますね。哲学が役に立つのって、それぐらいかなぁ。

(……面白い人だなぁ)

最近では電子書籍のシェアなども伸びているようですが、紙の本の魅力とはどういったところにあるのでしょうか?

古書店としては、リセールバリューがあるのは魅力的ですね。誰かの手に渡った本が、巡り巡ってほかの誰かの手に渡る、というのは素敵だと思います。

それに加えて、紙の本は「目に見えている」ところが優れていると感じます。読むのを中断した本の存在を忘れてしまうことってあると思うんですけど、紙の本ならパッと見たときに思い出すことができるじゃないですか。これが電子データだと、そのまま忘れ去られる可能性がありますよね。

あと、デジタルの場合はKindleのような電子書籍専用の端末で読むならともかく、スマホやタブレットで読むとなると、せっかく本の世界に入り込んでいるのに、通知が来るのは気になりますよね。

確かに!紙の本って良いところがたくさんありますね。匂いとかも好きです。

そういえば、本以外の物も気になります!どうして置いてるんですか?

ウチのお店は出張買取もしてまして、そういったお客さんの所に訪問すると「引越しで今の場所を引き払う」という方が多かったんです。

本の処分もそうですが、それ以外の雑貨や家具なども処分するのに困っていたり。そうしたときに、ウチで引き取ることで喜ばれることが多かったんです。気がついたら色々なものが集まりましたね(笑)

でも、結果的に唯一無二の空間になっていますね!

古書店になる前は、BARだったみたいで。今は本棚があって少しわかりづらいですが、バーカウンターがあるんですよ。

店のレイアウトや照明の位置とか、どことなくBARの名残がありますよね。

ここ最近の西千葉エリアの変化について

長嶋さんが店長になってから10年以上。さらには、千葉大生だった頃から数えると20年以上も西千葉を見てきたわけですが、ここ最近の変化について感じることはありますか?

以前までは、”新しくお店ができる”というと西千葉駅の南側エリアがほとんどだったんですよ。でも、ここ最近は北側エリアがすごく盛り上がってきていますよね。

東京で話題の飲食店とかも出店するようになったし、最近は近所にスーパーマーケットのKASUMI(カスミ)もできましたしね。KASUMIさんにはお世話になっていますよ。

元々、この辺りは千葉大学をはじめとして、高校や大学が多い文教エリアですから、学生さんの引越しなども多いことが想定されます。そのため、古書の仕入れに有利な場所だと思っていました。

加えて、新しく分譲マンションや学生向けのマンションも出来るそうなので、たくさんの人が移り住むことになりますよね。

まちもさらに発展していくでしょうし、ウチのお店に足を運んでくれる人も増えると嬉しいですね。

ウチには絵本もたくさん置いてあるので、親子とかファミリー層の来店も楽しみです。

ぜひ、散歩ついでに立ち寄っていただければと思います。美味しいコーヒーもあるので!

今後の展開がますます楽しみですね!

今までも、これからも。西千葉にたたずむ素敵な古書店へようこそ。

約20年にわたって西千葉の地に在り続けた古書店『ムーンライト・ブックストア』。

一歩、中に入るとなんだか不思議な世界に迷い込んだような、言葉で表現しきれない魅力のあるお店でした。訪れた際はぜひ、本だけでなく渡邉さんが淹れたコーヒーも一緒に楽しんでみて欲しいです。

新しい出会いに、とりとめのない会話も添えながら。

ムーンライト・ブックストア

住所:〒260-0044 千葉県千葉市中央区松波2-19-11
営業時間:13:00 – 18:00
定休日:水曜日

公式Instagram(moonlight_bookstore)
公式X(@gekkoudou)

千葉 学美の杜

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